この本は、ほとんどの日本人が読んだほうがいいです。
大人でもできていない人が本当に多いです。
私たちは、日本の学校教育、受験勉強でひたすら正解のある問題を解く訓練をしてきました。
そのおかげで知識は豊富ですが、社会に出てからぶつかる問題を解く力が弱いと思います。
これは、グローバル社会に出たときに顕著で、国による教育方針の違いが染みついた結果です。
これを問題と思うなら、いち早く対策を考えたほうが良い。その対策の一助となる本を紹介します。
「正解のある問題」と「正解のない問題」
世の中には2種類の問題があります。
- 正解のある問題
- 正解のない問題
正解のある問題とは、以下のようなものです。
- 学校のテスト
- 受験
- クイズ
一方で、正解のない問題とは、以下のようなものです。
- 大学に行くべきか
- 結婚するべきか
- どの会社に就職するべきか
- 転職するべきか
- 環境問題対策をどう進めるか
両方を比べるとわかりますが、正解のある問題は、答えが決まっているので調べれば解けます。知識や解き方を頭に詰め込む、最近ではググれば一瞬で正解に辿り着けます。知識量が重要なので、人間よりAIが得意な領域です。
逆に、正解のない問題は、いくら知識を持ちよっても正解にたどり着けません。
なぜか?
それは、正解がないから。
選択肢はいくつもあり、どの選択肢が最適かは、時と場合、人それぞれの価値観や優先するものによって異なります。
また、その選択肢を選んでよかったかは、結果が出るまでわかりません。仮に良い結果だとしても、決断の良し悪しとはイコールではありません。
もしかしたら別の選択肢を選んでいれば、もっと良い結果につながっていた可能性はあるからです。もちろんそんなことは、起こらなかったことなので誰にもわかりません。
ひょっとしたら、決断は良くなかったが、運が良かったおかげで良い結果になった可能性もあります。
「正解のない問題」に対する対応
正解のない問題は、どの選択肢を選べばよいか決まりがない、つまり、どの選択肢を選ぶか決断するしかないのです。
当たり前のことを言っているようですが、決断するためには、良い決断をするための能力が重要です。なぜならば、その決断が結果に大きく影響するからです。
では、良い決断とはどのようなものでしょうか?
簡単にまとめると、以下のようなものです。
- 問題を明確に定義する
- 問題を解決した時の理想の状態を思い浮かべる
- 解決策として取りえる選択肢を洗い出す
- それぞれの選択肢を評価する
- 理想の状態に近づくための最適な選択肢を選ぶ
シンプルですが、習得するためにはがまん強く、繰り返し訓練が必要です。
意見を持つことの重要さ
ちょっと前置きが長くなったような気もしますが、「正解のない問題に取り組むこと」と、「意見を持つこと」は共通点があります。
それは、意見を持つ対象は正解がないということです。
正解がないからこそ、人それぞれ、異なる意見を持つのです。
ですから、あなた自身の意見を持つことは、答えのない事象であふれた社会を生きていく上で重要なのです。
では、意見をもつにはどうすればよいか、それは正解のない問題の解き方と似ています。
- 問題を明確に定義する
- 問題に対して存在する意見(ポジション)を洗い出す
- 自分の価値観、考えとそれぞれの意見を比較する
- 自分の価値観、考えに最も合致した意見を選ぶ
- (その意見を選んだ理由を語れるように言語化する)
例えば、新型コロナウイルスの蔓延に対して、マスクを義務付けるべきか、という問題に対して、正解はありません。人によって考え方は異なりますし、国によって対応はさまざまです。
まず1の問題定義ですが、これも人によって観点は異なると思います。
ウイルスの蔓延を防止する、マスク着用の自由を侵害しない、経済を止めない、などなどあります。
2の存在する意見の洗い出しでは、マスク着用を義務付ける、マスク着用は義務付けない、特定の人のみ(60歳以上、基礎疾患のある人、陰性証明のない人、ワクチン未接種の人、など)マスク着用を義務付ける、などなどあります。
3では、自分がウイルス感染者の最小化を優先するか、国民の自由を優先するか、海外の事例による結果や科学的根拠を拠り所にするか、判断基準は異なります。
4では、自分の判断基準に合致した選択肢を選び、それを自分の意見とします。
他人と意見が異なることが予想されるので、5でなぜ自分はその意見を選んだかを説明できるようにしておいたほうが良いでしょう。
他人と意見が異なることは悪いことではなく、異なる意見を戦わせることで、より良い選択を導き出したり、お互いが納得して特定の選択を実行することにつながります。
結論
正解のない問題に対処すること、自分の意見を持つことは、訓練が必要です。
日々の小さな問題、テレビのニュースで目にした問題に対して、ぜひ繰り返し取り組んでみてください。
正解はないものの、より考えの深い意見を持てるようになると思います。